議会リポート

2008年10月8日

梶川 みさお

社民党議員団を代表して、議案第92号について反対、請願第33号について賛成の討論を行います。

まず、議案第92号宝塚市立西谷認定こども園条例の制定について、反対の討論を行います。

基本的にまず、認定こども園の発想自体に賛成ができません。認定こども園は、規制緩和による公立の無認可保育所を推進するものであることから、一定の保育の質の担保が保障されていません。2つ目は、その具体的な問題として、特に西谷小中学校で推進している食育の面においても、自園調理の条件を満たしておらず、また子どもたちは同じ教室で給食を食べる子どもと弁当を食べる子どもなど、教育の配慮に欠けている点であります。3つ目は、現場職員との協議がなされていないことであります。具体的には、保育士や調理員、幼稚園教諭の配置の問題であります。問題点を洗い出し、職員の配置など、細部の調整はこれから進められる、やっと進められることになっています。西谷では以前から保育所設置の声が多くありました。私たちは市による子育ての支援推進を妨げるものではありませんが、子どもたちの健やかな育ちに必要な最低限の条件整備がないまま、事業を開始することに異議を唱えているのです。多くの課題を十分に協議検討した上で、12月議会に再度議案上程をするべきであると考え、この件についての反対討論といたします。

次に、請願第33号朝鮮学級中級部の児童保護者就学補助金の増額を求める請願について、賛成討論を行います。

朝鮮学校は戦後間もなく設立されて、日本の公立学校と同じように、日本語教育を初め、道徳教育、体育など、学校教育法に言う第1条校と何ら変わることのない教育を62年間行ってきました。しかし、我が国では朝鮮学校を自動車学校や調理師学校と同じように各種学校扱いにして、さまざまな法的な保障から除外してきました。少し前の数字ですが、義務教育への公的負担は公立小学校で年間1人当たり81万6,000円、中学校は86万8,000円であります。私立でも約28万5,000円となっています。しかし、朝鮮学校は全国平均で9万6,000円であり、その格差は公立の9分の1、私立の3分の1となっており、朝鮮学校へ通わせている父母の経済的負担は限界に来ています。国連人権委員会においては、日本政府に対する是正勧告を行っております。また、日本弁護士連合会もこのことを取り上げ、同じ各種学校のインターナショナルスクールでも、指定寄附金制度等の指定を受けていることや、大学の受験資格が認められているにもかかわらず、朝鮮学校や中華学校は認めないことは差別的扱いに当たるものであり、子どもの学習権を侵害することになるとして、政府に対して2度も勧告書を提出しています。

尼崎朝鮮初級学校の運営費は、年間約1億2,000万円です。そのうち月謝収入5,000万円、県、市からの助成金4,000万円で、残り3,000万円は保護者からの寄附金です。その財源は、キムチの販売やバザー、売店、チャリティーゴルフコンペなどで捻出しています。朝鮮学校に通う子どもたちは、3世や4世の世代です。日本に生まれ、日本で育ってきた彼らが、日本の子どもたちより不利益な扱いをされていても、自分たちではどうすることもできません。政府に対して改善を求めるとともに、自治体の救済措置が必要です。現在、宝塚市は初級部には他市に先駆けて年間14万円が支給されていますが、中級部には4万8,000円のみとなっています。この中級部の4万8,000円を14万円に引き上げたとしても、対象者はわずか11名、1人9万2,000円の引き上げですから、101万2,000円の増額になるだけです。宝塚市の財政が厳しいのは十分認識していますが、これまでの歴史を踏まえながら、納税の義務など道義的、社会的義務を果たしてきている人たちへの公平、平等の原則に照らし、少しでも保護者の負担を軽減するために、宝塚市議会全員の採択をお願いし、私の賛成討論といたします。