議会リポート

2010年6月3日

梶川 みさお

おはようございます。社民党議員団の梶川みさおです。

それでは、通告に従いまして2点について質問いたします。

  1. 入札改革と公契約条例
    1. 競争入札が抱える課題について

この問題については何回も質問していますが、最低制限価格が少し見直しされましたが、根本的な改善がされていませんので、再度質問いたします。

3月議会の中川市長の施政方針の中で、入札制度の改革について、公平性や公正性、競争性をより一層高めていきますと表明されました。私は最後の競争性を高めるというところについて、少し疑問があります。代表質問でも指摘をしました。

現在進められています一般競争入札は、価格の競争が激化し、特に最低制限価格が適用されていない委託業務などは、受託した企業の労働者の賃金、労働条件は劣悪な状態で、中には生活保護水準にも満たないケースもあると思います。以前に紹介した大阪市営地下鉄の清掃委託の労働者が月2万4,221円の生活保護費を支給された例もあります。

そこでお伺いします。

競争性を一層高めていくことに問題はないと思いますか。また、公共サービスを担う労働者が、働いても働いても普通の生活ができない官製ワーキングプアをつくりだす現在の一般競争入札の課題について、市の見解を求めます。

    1. 総合評価入札制度の導入について

価格だけの競争から価格以外の要素も加味して総合的に評価する制度のことですが、私は2008年6月議会で総合評価入札制度の導入について質問をしましたが、小中前総務部長は、入札契約制度調査研究会で検討していくと答弁されました。

そこでお伺いします。

この入札契約制度調査研究会の検討の経過と結果を教えてください。

    1. 公契約条例の検討について

3月議会でも質問していますが、市が発注する業務を請け負った事業所の労働者は、一生懸命働いても普通の生活ができない状態が起きています。

昨年9月に千葉県野田市で制定された公契約条例には、一般的に条例にはない前文があります。これを紹介します。

「地方公共団体の入札は、一般競争入札の拡大や総合評価方式の採用などの改革が進められてきたが、一方で低入札価格の問題によって下請の事業者や業務に従事する労働者にしわ寄せがされ、労働者の賃金の低下を招く状況になってきている。このような状況を改善し、公平かつ適正な入札を通じて豊かな地域社会の実現と労働者の適正な労働条件が確保されることは、ひとつの自治体で解決できるものではなく、国が公契約に関する法律の整備の重要性を認識し、速やかに必要な措置を講ずることが不可欠である。本市は、このような状況をただ見過ごすことなく先導的にこの問題に取り組んでいくことで、地方公共団体の締結する契約が豊かで安心して暮らすことのできる地域社会の実現に寄与することができるよう貢献したいと思う」とうたっています。そして、野田市の根本市長は、千葉県の市長会の場で、先頭に立って国に対する要望を行っています。

一方で、国会におきましても、社民党の重野幹事長が、ことしの2月2日の衆議院本会議の場で、公契約法の早期制定について鳩山首相に質問しましたが、労働者の賃金労働条件については労使間で決めることであると考えると残念な答弁となっています。

宝塚市議会も、平成16年12月21日に政府に対して、公共工事において建設労働者の適正な賃金が確保されるよう、公契約法の制定を求める意見書を提出しています。

現在、公契約法はできていませんが、平成21年5月に公共サービス基本法が施行され、第11条に、国または地方公共団体は公共サービスの実施に従事する者の労働条件の整備に関し必要な施策を講ずるよう努めるものとすると規定されています。

そこでお聞きします。

公契約条例の制定により、公共サービス基本法の第11条が実現でき、地域社会の活性化にもつながると考えますが、市の考えをお聞かせください。

  1. 学校図書館教育推進事業
    1. 委託契約の課題の解消について

この問題についても、3月の予算委員会で質問しました。

宝塚市は都市経営改革行動計画の一環としてアウトソーシング推進計画を推し進めています。中身は、とにかく安くするために、何でもかんでも民間に委託するというものです。そこには、将来のビジョンもなく、サービスの低下もお構いなしです。さらに問題なのは、偽装請負という法律違反の疑いがある契約があることです。

私はこれまで、固定資産税評価情報システム修正委託、窓口サービス課のデータ入力の業務委託、養護学校のスクールバス運行業務委託などで、偽装請負の疑いについて指摘をしてきました。そして、今回は学校図書館の司書配置の委託業務であります。

3月の予算委員会でも言いましたが、この事業については、昨年11校から今年は小・中学校36校のほとんどの学校に司書を配置することになり、その面では大変評価をしています。

しかし、予算委員会の資料で、業務内容を記載した仕様書案を見てみると、受託者は市内の小・中学校に専任の司書を配置し、市教委の指示のもと各学校と連携しながら、児童・生徒の読書活動のサポートや学校図書館の環境整備、図書ボランティアの育成等を行うと書いてあります。

以前にも言いましたが、そもそも請負契約というのは、会社がその業務に精通しており、専門的なノウハウを持っていて、その業務のすべてを任せられるというものであります。さらに業務に必要な設備もしくは器材、または資材を自己の責任と負担で準備し、業務を処理することと規定されています。教育委員会の指示のもとというのは、まさしく偽装請負ではないかと思います。

そこでお聞きします。

この件についての市教委の見解をお聞かせください。

    1. 直接雇用の司書配置について

これも予算委員会で指摘をしましたが、年間の委託料1,728万円を業者に支払って、司書を配置してもらっています。

実質は派遣だと思いますが、この場合、契約金額の幾らかが会社のもうけとなります。直接雇用した場合は、この会社のもうけ分を労働者に全額支払うことができたり、雇用する人数をふやすことができるなど、緊急雇用対策としての効果が発揮できると思います。

また、委託の司書だと会社のマニュアルどおりに仕事をするので、積極的で柔軟な業務改善は期待できません。それが、直接雇用の司書だと、同じ公務員として、例えば、職員会議にも出席できるし、教師や図書ボランティアと相談して、よりよいコミュニケーションを図りながら業務の改善に取り組むことができます。

このことが、地方自治法第2条14項でうたっている最少の経費で最大の効果が発揮でき、まさしくこれが行革ではないかと思います。

そこでお聞きします。

市が直接雇用の司書を配置するという考えはありませんか。お伺いします。

以上で、1回目の質問を終わります。

中川智子 市長

梶川議員の御質問に順次お答えをしてまいります。

まず、入札改革と公契約条例についてのうち、競争入札が抱える課題についてですが、近年、労働者の低賃金化は全労働者の問題となっており、本来、その根本的な解決は、国によって図られるべきものと考えていますが、本市においても、労働者保護の問題については大変重要な問題であると認識しており、労働関係法令を遵守しつつ、適正な雇用環境が確保されるよう、自治体としてどのようなことができるのか、検討してまいります。

次に、総合評価入札制度の導入についてですが、入札契約制度調査研究会での研究を経て、宝塚市建設工事総合評価方式試行要領を定め、平成20年12月に1件の建設工事において、試行的に実施したところです。

次に、公契約条例の検討についてですが、当該条例は、公共が発注する事業に従事する労働者が低賃金に陥る状態を解消するため、発注者である市などが最低賃金法を上回る賃金を定め、受注者にその支払いを義務付けるものです。

しかし、国が定めた最低賃金とは別に、市が最低賃金を定めることが、憲法や最低賃金法に抵触するのではないかという議論が、昨年9月に全国の自治体で最初に公契約条例が制定された千葉県野田市や、それに先立つ尼崎市での議員提案による公契約条例案の審議において行われました。

本市としては、現在、これらの条例を参考に、入札契約制度調査研究会において、法的な問題等の整理ができるかどうかも含めて、課題の一つとして研究しているところです。

また、本年6月末には、本市の入札契約制度の現状を検証し、必要な改善策について助言をいただくために、入札契約制度に関する調査専門委員を委嘱する予定です。

専門委員からいただいた助言をもとに、本市の入札契約制度をよりよいものとしていきたいと考えているところです。

教育に関する御質問につきましては、教育長から答弁をいたします。

以上です。

伊達達治 教育長

梶川議員の教育に関する質問にお答えします。

学校図書館教育推進事業についてのうち、委託業務契約の課題の解消についてでありますが、すべての小・中学校に専門的かつ実践力のある相当人数の司書を確実にかつ速やかに配置するため、実績のある業者との委託業務契約を進めることといたしました。その際、仕様内容を精査し、適正な請負業務となるよう努めてまいりました。

具体的には、司書への業務指示についての問題ですが、まず教育委員会と受託業者の管理責任者が事前に事業計画を作成し、業務内容を文書で確認した上で司書を配置します。さらに教育委員会と管理責任者との間で定例企画会議を開催し、読書活動の推進や現場のニーズに対応できるように定期的に業務内容を協議します。御指摘いただいている司書への指示については、管理責任者のみが行い、学校の教職員や市教育委員会が直接行うことのないよう徹底することとしています。

次に、直接雇用の司書配置についてでありますが、平成18年度から実施した司書の配置についても、専門的で実践力のある人材が確保できたため、学校図書館の利用者数や貸出冊数がふえるなど、子どもたちの読書活動の推進に効果が見られました。今回の配置についても、実績のある業者との委託業務契約を行うことで、子どもたちにとって魅力的な図書館づくりのノウハウを持った優秀な人材を確実に配置できると考えています。そのことで、子どもたちが読書への興味関心をさらに高め、一層の読書活動の推進につながるとともに、図書ボランティアとの連携やその育成にも大いに資するものと考えております。

今後も専門的で実践力のある優秀な司書の配置に努めてまいります。

以上でございます。

梶川 みさお

それでは、2次質問をさせていただきます。

その前に、きょうは傍聴たくさん来ていただきまして、ありがとうございます。ちょっとお礼を言うの忘れていました。

まず、競争入札についてなんですけれども、実際の契約の3大原則というのがあって、経済性の確保、それから公正性の確保、適正履行の確保というのが3大原則というふうにあります。

昨年だったと思いますけれども、市の工事を請け負った業者が、工事の途中で倒産をしたということがありました。途中で工事が凍結しております。その後、再入札して業者が決まって、工事が再開されたということを聞きましたけれども、これはこの3大原則の適正履行の確保ができなかったということで、私はこれが競争入札の弊害の一つだと思っていますけれども、このあたりについての認識を教えてください。

谷本政博 総務部長

議員御質問の、昨年の市の工事を請け負った業者が倒産をして、適正履行が確保できなかったという、その辺に対する認識でございますけれども、この件につきましては、倒産原因そのものが非常に安い価格、いわゆる最低制限の価格で無理に落札をしたということをもって倒産をしたということでは決してございませんで、私どものほうで把握をしておりますのは、それ以外の資金的な需要が、資金繰りが非常に悪化をして、自己破産をしたというように確認をいたしてございます。

以上です。

梶川 みさお

だから、一般競争入札は金額だけで比較していますから、その会社が倒産するということは、そこで働いている人にちゃんと賃金払えていたかどうかも含めて、労働者に適正な福利厚生賃金払っているとか、いろんな障がい者雇用とか、そういった総合的に判断したら、その業者が落札していなかったんではないかと思います。そのことで、私は一般競争入札の弊害の一つやというふうに思っています。

それはそれでいいですけれども、次、総合入札制度についてなんですけれども、今、市長の答弁で、この6月をめどに入札改革委員会というんですか、正式な名前、新聞には入札改革委員会という3人の弁護士を入れて設置すると言われましたけれども、この目的は、多分2代続いた市長の不正なんかについても、それの改善のために入札を根本的に見直すという、それが不祥事の再発防止を目的にしていると思いますけれども、この委員会の中で、総合評価方式とか公契約条例について議論をされるのかどうか、お聞きします。

山下稔 副市長

入札契約制度に関します調査の専門委員につきましては、この6月末にはスタートを切りたいということで委嘱をする予定でございます。これは地方自治法に規定されます専門委員としてお願いをしようということでございます。

この専門委員さんの活動といたしましては、現在、本市内部的な検討の中では、入札制度、契約制度は改善、改革をとられておりますが、その現状につきまして、改めて公平あるいは独立した第三者の立場から検証をしていただいて、その改善策等について助言、提言をいただくということをお願いをしようと思っております。

当然、現在の本市の制度の内容の点検もございますが、あわせまして、御指摘のような最近の契約あるいは入札制度に対します課題となっております総合評価入札制度あるいは公契約条例の考え方、そういうものにつきましても御議論をされるものというふうに考えております。

梶川 みさお

ぜひその場で議論をお願いしたいと思います。

次に、2002年と2004年、2008年、3回にわたって契約関係に関する地方自治法や同施行令が改正されました。

中身をちょっと簡潔に言いますと、法律変わった中身ですけれども、原則として一般競争入札を維持しつつ、入札に参加する資格要件を事業所の所在地として定めることや、総合評価方式の中に参入希望事業者の地域貢献度を加味することを可能にしたものです。

ですから、価格本位の入札から、価格以外の要素も入札に反映するような制度改正になったと思います。単に安ければいいということではなくて、契約の締結によって事業執行がより質の高いものになること、それがすなわち地域社会の活性化になるということが求められていると、そのように変わったと言えます。

この改正に基づいて、総合評価方式の導入についてどのように考えておられますか。

谷本政博 総務部長

総合評価入札制度につきましては、既に市長のほうから御答弁させていただきましたように、20年度で実際には試行的に1回行ってございます。

ただその段階では、価格以外の要素については、なかなか各それぞれの参加者で大きな差異が出なかったという部分もございまして、結果的には価格による決定というのに近い、そういった決定になったわけでございますけれども、私どものほうといたしましては、価格以外の要素として、例えば環境の配慮あるいは障害者の雇用等の福祉の社会的評価、そういったものを入れて価格以外で競争していく、あるいは業者を決定していくという考え方は、一つ全国的にも広まってございます。

20年度で試行的に行いましたけれども、大きな成果としては、特に差異が出なかったという点もございますけれども、さらにこの点については調査研究を進めまして、今回、6月末に設置をいたします専門委員の中でも、よりよい総合評価の入札制度が実現できるかどうか、そういった点にも十分協議をいただいて、その答えをもって市としても一つの方向性を出してまいりたいというふうに考えてございます。

梶川 みさお

それでは、ちょっと進めますけれども、3月議会の代表質問で、市長の答弁に対しまして質問をしたいと思います。

市長の答弁で、「価格という客観的事項のみではなく、障がい者雇用や災害協定等の社会貢献等といった主観的事項を評価して行う総合評価方式の競争入札については、運用次第では実質的に競争性の低い指名競争入札または特名随意契約と同じような効果を生じさせる問題があります」、このように答弁されましたけれども、私は随意契約と同じ効果というこの答弁については、ちょっと納得できないんですけれども。総合評価方式というのは、評価項目ごとに点数をつけて、障がい者を雇用していたら何点とか、地域活動をやっていたら何点とか、労働者に適正な労働条件を守っていたら何点とか、当然、価格も競争の点数に入りますから、公正性、公平性、保たれると思いますけれども、随意契約というのは、私の知るところでは、業務に精通していて、その業者でないとできないとか、そこには競争性、価格の競争というのは入ってこないと思うんですけれども、このあたり、随意契約と同じような効果というのは、もう少しわかりやすく説明いただけますか。

谷本政博 総務部長

先ほど申し上げました価格以外の要素で評価をしていく、いわゆるそれで差をつけていくという考え方でございまして、先ほど申し上げましたように、環境の配慮あるいは福祉的な社会的評価、そういったものを代表例といたしまして、それ以外にもいろんな評価項目が出てくるわけでございますけれども、その設定する評価項目あるいは評価のウエートによりまして、特定の事業者がそれで恣意的に偏ってしまう。そういったおそれもあるというようなことでございますので、特定業者に対する随意契約と同じ効果を持つ危険性があるということで、3月に市長のほうから御答弁させていただいたものでございます。

ただ、この総合評価入札制度の評価項目あるいは評価のウエートのかけ方につきましては、かなり客観的に公正なものとして定めていく必要がございますので、さらに私どものほうといたしましては精査し、研究をして、よりよいものになるように少し方向づけをしてまいりたいというふうに考えてございます。

梶川 みさお

だから私は、例えば市民を何人雇用しているかとかいうのは、当然、市内業者、市民が何人雇用されているか、これは私、評価の対象にして、市の税金で工事というか委託するんですから、それが市民に還元されて、そして宝塚市民の所得が向上して、それで税金払ってもらったら市に還元されますから、そういうことは私はやっても問題ないと思うんですけれども、そういうことを期待しているところです。

次、もう一つ、市長の答弁で、市の委託業務等の予定価格のうち、人件費は「公共工事設計労務単価や、市アルバイト職員の単価などのさまざまな単価を用いています」と答弁されました。

工事委託の場合、今回、最低制限価格が改善されて、予定価格の8割ということになりましたけれども、業務委託になったらもっと低い落札率になります。市のアルバイト賃金単価で人件費を計算した場合に、予定価格が市のアルバイト賃金、例えば1時間880円で計算して、それの8割で落札されたり、もっと6割で落札されたら、当然人件費が、市が想定しているアルバイト賃金よりも下がる可能性がありますわね。今、兵庫県の最低賃金が721円、8割でも700円ぐらいですから、最低賃金下がったら法律違反やから契約できへん、あかんのですけれども、市がアルバイト賃金を想定していて、アルバイト賃金、私はそれでは低いと思いますけれども、それよりも下がるようなことを今、放置している状態ですけれども、そのあたりについて、そのままほうっておいてええんでしょうか。

谷本政博 総務部長

設計の金額の算出に今、かかわる話でございますけれども、設計の金額の中に占めます人件費につきましては、公共工事の設計の労務単価、あるいは場合によりましたら市の職員のアルバイト職員単価など、いろんな単価を用いてございます。

それ以外に、諸経費、あるいはそれ以外の経費も含めて、結果的には設計金額というふうに定めてございます。

入札公告で賃金条件に関して留意すること、あるいは契約時に関係法令を遵守をする誓約書の提出を求めてございます。

したがいまして、落札者につきましては、最低賃金法等の関係法令、これは遵守しているものというふうに私どものほうとしては考えてございます。

以上です。

梶川 みさお

だから、これは最低賃金守っとったらええという、それはもともとの問題なんですけれども。

721円で、これ1,800時間働いて、年間140万いかないんです。だから、最低賃金低過ぎるから、今、こういって公契約法をつくれとか、公契約条例の話があるんですから、その最低賃金を守っていても生活できないという状態ですから、そのあたりが問題になってきていると思います。

それからもう一つ、市長の答弁、今も答弁されましたけれども、公契約条例について、「国が定めた最低賃金とは別に、市が最低賃金を定めることが、憲法や最低賃金法に抵触するのではないか」と、今も答弁されました。これ、3月の代表質問でも同じことを言われました。

このことについて、民主党の今、仕分けされている尾立参議院議員が、最低賃金法と公契約条例の関係について、質問主意書ということで、平成21年2月24日、これまだ、だから民主党が野党やったときですけれども、政府に提出しました。その答弁が、平成21年3月6日、当時の麻生総理大臣から出されています。

この中身を見ますと、公契約条例の中に、地域別最低賃金を上回る最低賃金額と罰則を規定する場合について、最低賃金法からいかなる制約を受けるか、それから実際に罰則を科すことは可能かという質問に対して、麻生総理大臣は、ちょっともう時間ないから、要は同法上問題となるものではないと、罰則規定を設けることもできるという回答、答弁書が出ています。

もう一つの質問は、地方自治体が最低賃金法の趣旨を踏まえ、地域別最低賃金額を上回る独自の最低賃金額を規定した条例を制定することは可能かということで、これはできないと。というのは、ちょっとわかりにくいんですけれども、これかみ砕いて言うと、宝塚市全体の事業者に対して最低賃金額を上回る賃金を、市が決めた賃金を労働者に支払いなさいというのは、法律では法律違反になる。ただ、事業者は、宝塚市が発注するこの事業に対して、それに契約する事業者についてのみ、これを制定できると。

だから、事業者はこの市の仕事に、入札に参加するかせえへんかとか、契約するかせえへんかというのは、事業者の自由を束縛していないから、最低賃金額よりも上回る賃金を労働者に支払いなさいよということを納得して契約する業者について、それに限定した条例は法律違反と違うという見解なんですけれども、このことについて、どうお考えですか。

山下稔 副市長

御指摘のように、労働者保護の問題というのは、大変重要な問題と思っております。

そのために、本市におきましても、適正な雇用環境は確保するすべとしていろいろと検討していく必要というのは、考えております。

その一つには、最近の動きといたしましても、御指摘のように、公契約条例の取り扱いというやり方もございますので、本市におきましては、従来から、入札契約制度の改革を担当しております入札契約制度調査研究会という、その中では、この公契約条例の動きであります野田市の条例、あるいは尼崎市では成立はいたしませんでしたが、議員提案ということで御議論されてきた経過もございますので、そういう内容につきまして、今、研究を開始したところでございます。

その中ではやはり、最低賃金の取り扱いについての解釈等々も議論になっていたというふうにはお聞きをいたしております。

一方では、今、御指摘のように、国のほうにおきましても、解釈、参議院での質疑の中で出ておりますので、それらも含めまして引き続き検討しておるというのは、内部的な動きでございます。

あわせまして、先ほど御答弁いたしましたけれども、この6月には外部委員さんによります入札改革、契約改革についての御審議、御検討いただきまして、また御提言いただきますので、それらも踏まえまして、より一層改革につながるようには取り組んでまいりたいと考えておるところが、現在の状況でございます。

梶川 みさお

だから、実際の任務というのは、住民の福祉の増進でありますから、貴重な税金を使って市の業務をお願いする契約ですから、やっぱり先ほど言いましたけれども、できるだけ市民に還元するとか、そして、価格だけで競争したら、やっぱり大きな会社に勝てないんです、中小業者は。それも市外の大企業が、億単位の仕事やったら、大きな市外の大企業がとってしまうんです。

このあたりがやっぱり今の競争入札、価格だけでやると、貴重な税金が市外の業者に全部持っていかれるということですから、市内業者優先という方法をとられていると思いますけれども、もう少しそれを強化していただいて、市民に還元して、市が契約をすることで地域の活性化につながるという、まちづくりのための入札制度ということをお願いしたいと思います。

そしたら次、学校図書館の推進事業についてでありますけれども、これも3月の予算委員会で、私、質問しました。橋元部長の回答について、もう1回質問をします。

司書はだれの指示で仕事をするのかという私の質問に対して、橋元部長は、業務責任者の指示、責任者は学校におらず、常時携帯電話で連絡している。非常時に現場に駆けつける。

先ほど教育長も言われましたけれども、現場の職員が直接司書に指示しないように徹底するというようなことを言われました。私、物すごくこれおかしな話で、教育の現場で、教師と地域ボランティアと司書が連携してやらないかん。そして、子どもたちの図書活動の推進を図るということですから、教師と、そこの学校の先生と司書が、全く指示とか、指示させないというような、こんなおかしな話を、そんな実際にあり得ないでしょう。会社の責任者、現場におらへん会社の責任者が、緊急の場合にその指示を受けるって、こんなあり得ないことをよう言うたな思ってね。

この間、前の養護学校のスクールバスのことでも予算委員会で言いましたけれども、養護学校のスクールバスの運転手も委託労働者ですから、偽装請負違うんですかと聞いたら、もし子どもに、その障がい児が急に容体が変わったら、学校に行かんと病院に行かなあかんとか、家に帰らないかん場合があるけれども、そのときどないしますのと言うたら、直接運転手に添乗員は指示できへんから、添乗員は養護学校の校長に連絡して、校長が会社の責任者に連絡して、会社の責任者が運転手に携帯で電話して指示すると言いました。こんな緊急の場合にあり得ないようなことを言われたし、今も同じことを言われたんですけれども、そんなこと本当にあるんですか。指示は責任者ができて問題はないと思いますか。現場にいない責任者が指示できるんですか。

橋元泰雄 学校教育部長

その点につきましては、今回の仕様書の中に、定例企画会議等を設けまして、必要に応じた形でも業務内容等について協議をしてまいりたいというふうにも考えております。

またそれに加え、定例でもそういう会議を設けまして、業務内容等の充実に向けた形で進めてまいるというふうに考えております。

梶川 みさお

だから、学校図書館の司書ですから、それぞれ学校のいろんな事情ありますやん、学校の考え方とか、今までの図書の指導方針とか、子どもたちもいろんな家庭の事情があるとか。そんなん会社のマニュアルどおりにいきません。その場その場でやっぱり教師と先生とその都度相談して、それは相談もあるし指導もあるでしょう。学校の先生がこういうふうにしてください。

図書の時間というのがあります。図書担当の教師が授業して、その委託された司書がお手伝いするというふうに聞きましたけれども、その場合に、先生は司書の方に、ちょっとすみません、そこの本とってきてくださいと、これ言われへんことになりますやん。そんな、できないような本当にそんなことを、指示できないような契約の仕方というのが、ほんまに子どもの教育に役立つんでしょうか。それちょっと不思議でしかたないんですけれども。

橋元泰雄 学校教育部長

今回、専門的な形でいろんなノウハウを持っている司書の方の配置ということを考えておりまして、まず、その司書の方々が、いわゆる教育活動に対して、図書館という機能を使っていただいて、教師や児童・生徒に対しての支援や協力、そして応援をしていただくことを目的としております。

また実際に、図書館を使って子どもたちを先生が指導していくときに、先生方が図書館をどういう形で配置していただいているというようなことも、中身を知ったりとか、それから本を活用して子どもたちが図書館に行ってよかったとか、それからよく学べたとか、本を好きになったというふうに思えるようにするためにも、専門的な知識や経験のある方、そういった方を配置していただくためにも、今回のこういう契約というふうに至ったというふうに考えております。

梶川 みさお

私が言うてるのは、これ以前にもありましたけれども、窓口サービス課の件で、窓口サービス課の入力業務の委託の方、今、市の直接雇用になっていますけれども、以前は住民票発行するところに委託の方がおられましたよね。これも私、指摘したときに、要は市の職員と一緒に仕事をするんですから、市の職員と連携とるのは当たり前やし、市の係長が指示するのが当たり前なのに、指示することについて、請負契約ではこれ問題あるん違いますかと言うたら、当時の部長は何をしたかというたら、職員とその委託事業者の間につい立て立てて、話をささんようにしたんです。私、ほんまにびっくりして、そんなことを考えるという。これは、何か目的が完全に忘れられてしまって、偽装請負にならんようにだけ考えているんです。市民サービスとか、全くそれを考えんと、偽装請負やと指摘されたから、間につい立て立てて職員と委託の社員と分離して、今、それと同じ話をしているんですよ。

子どもたちに図書の本に親しんでもらうために、専門的な司書を配置してもらっていると言っているけれども、現実は、やっぱり学校の図書館の中で、図書の先生と司書と、それから地域のお母さんたちが地域ボランティアで来ていますよね。その人たちがコミュニケーション図って、場合によったら先生が指示する場合もあります。こんなんささんようにしたら、本来の目的が達成できんと、偽装請負にならんようにだけのそんなことばっかり考えなあかん。ほんまの目的、達成できないと思うんですけれども。

もう少し、私が言っている中身、ほんまにこんな契約の仕方でええの。私が言うてるのは、直接市が雇用したら、そんなこと考えんでもええわけ。子どものために何が一番ええのかということをみんなで考える体制にせなあかんということを言っている。そのことについて、どうですか。

橋元泰雄 学校教育部長

先ほどもいろいろと申し上げましたけれども、とにかく今年度につきましては、市が直接雇用するよりも、多方面へのネットワークを有する業者、そういったところに委託するほうが、我々といたしましては優秀な司書の確実また速やかな配置が可能であるというふうに判断をしたために、委託業務契約で進めることといたしましたけれども、今後につきましては、今年度の司書の配置による成果や課題を丁寧に検証しながら、よりよい読書活動につながるよう、司書の配置に努めてまいりたいなというふうに考えております。

梶川 みさお

だから、先ほど言いました住民票の発行の人も、結果的に最終的に直接雇用しました。そこで働いている委託業者に雇用されている人を直接、市が雇用しました。それのほうが、金額が当然、臨時職員ですけれども、市は臨時職員で雇いましたけれども、当然それで委託料よりも安く上がっているわけです。私、それが臨時職員でええとは言っていませんけれども、例えば、市が考えるんやったらそうなりますやん。

だから、今年度は契約しているから、この1年間は無理やったとしても、来年4月に向けて、ハローワーク行って司書の資格を持っている人の募集をするなり、広報たからづか使ってやるなり、結局、委託したら、教育委員会、直接司書の方と教育委員会は話せえへんから、物すごく無責任になるんです。司書の人を直接雇用したら、やっぱり市がちゃんと責任持って司書の方の意見も聞けるし、だから私、業者に丸投げして教育委員会の責任を放棄しているこのやり方については、やっぱり問題があると思います。

今、部長が言われたように、来年度に向けて見直しをするというか、検討をするということをお聞きしたんで、それで、今、私言うてる直接雇用についても考えていただけるんでしょうか。

橋元泰雄 学校教育部長

とりわけ、一番必要な労働基準監督署というところのいろいろと御指導も仰ぎながら、議員御指摘の部分も含めて検討してまいりたいというふうに考えております。

中川智子 市長

私は、図書館の司書、今回11校から36校にと、そして時間的な問題や、さまざまなノウハウをしっかり持った方ということで、今年度は契約をいたしました。

しかし、図書館というのは、単に本の導き役だけではなく、ほかのいろいろな自治体を聞いてみますと、学校を聞きますと、保健室登校というのが結構ありましたが、学校になかなか来られない、頑張って来てみようという子どもたちが、図書館で時間を過ごす、本を読むということも多く聞かれました。やはり、そのときには、単に司書だけではなく、学校関係者との連携は当然必要になってくると思いますので、今年度はそのような形でやりますが、次年度に関しては直接雇用含めて、また市内の図書館の司書の資格を持っていらっしゃる方がたくさんいらっしゃると思いますので、市内の方が雇用できるような環境もつくって、時間をかけてやっていきたいと思っております。

梶川 みさお

ぜひ、前向きにお願いします。

最後にちょっと、1日目の一般質問で、これに関連するんですけれども、学校給食の民間委託について議論がありました。

私、聞いていまして、ちょっと今回のこの図書館司書の問題と同じ学校現場の委託のことですから、ちょっと少し発言したいんですけれども、平成19年11月の行財政改革特別委員会で、当時の徳田部長が、民間委託について質問されたときの答えですけれども、宝塚市では、嘱託化を進めてきた。その結果、年間7億8千万円に近い効果額を上げている。当面引き続き、この嘱託化を進めていきたいと発言されています。平成19年11月ですから、まだそんなにたっていないです。

だから、民間委託したら安くなるとか、民間委託が行財政改革やという考え方が、私は違うと思いますし、徳田部長もこのときはそういうふうに言われました。だから、正規職員でずっとやってきた業務を嘱託にかえていって、それで年間7億8千万円の効果額が出ているんです。

特に学校給食とか今の図書館の司書のように、学校に調理員を派遣する、司書を派遣する、これはっきり言って派遣業務なんです。請負契約違うんです。学校の調理場を使って、学校が買ったなべとか器材、全部、業者が市の物を使うということについて、これが請負契約になると偽装請負の疑いがあるんですけれども、本当に業者に任そうと思ったら、全く給食業務がない学校に対して、新たに給食センターを業者がつくって、配送の車を業者が用意して、すべての設備、資材、すべて業者が責任持たなあかん。

今、宝塚市のように、学校でそれぞれ自校方式やっていますから、自校調理方式やっていますから、学校の施設の中で学校の器材を企業の調理員が来てやることについては、やっぱり請負契約になじまない。

それとやっぱり、質の確保といいますけれども、確保は保たれると言われますけれども、会社がもうけますから、必ず委託料が市の直営よりも、それも嘱託でやっている費用よりも安くついて、それをさらに委託したらもっと安いということは、会社にもうけ分がさらに行くから、そこで働いている人の労働条件、賃金労働条件は劣悪な状態、さっき言うた官製ワーキングプアになるんです。それが本当にええのか。ほんなら働いている調理員は給料安いですから、次、生活、もっとええ給料があるところあったらそこへ行きますから、責任持って、退職まで子どもの給食のために頑張ろうかということよりも、自分の生活のほうを考えますから、本当に質が確保されるかということもやっぱり心配なわけですから。

私は請負契約いうのは、前も言いましたけれども、例えば航空測量、資産税課とか、道路台帳で私、やりましたけれども、飛行機で市内を撮影して、それで図面つくったり、これは宝塚市はできないですから、飛行機持ってないし、パイロットいてないし、そんな専門的な測量できへんから、これは請負契約ですよ。図書館の司書とか調理員だけが派遣されるような、それも教育現場で、これは私、安いからといって民間委託に進めるというのは、やっぱり問題があるということを指摘して、私の質問を終わります。