議会リポート

2003年6月27日

大島 淡紅子

私は、議案第54号宝塚市手数料条例の一部を改正する条例の制定について社民党・福祉連合を代表して反対討論をいたします。

全国民に11桁の固有番号を振りあて、指名、生年月日、そして性別、住所、変更履歴、そして11桁の住民票コード、この6つの情報をデータベース化する住基ネットは、政府のIT基本戦略による電子政府、電子自治体構想の基盤システムです。私は、行政事務のオンライン化、これは情報化社会の流れとして必然であると思います。ですが、住基ネットを本人確認のシステムとして使う危険性が問題だと言っているんです。

現在、東京杉並区など6つの自治体が住基ネットに参加していません。それはなぜか。危険性を考慮してのことです。危険性は、

  1. デジタル情報の大量収集が可能で、使い道が拡大されるおそれがある

ということ。現に、塩川財務大臣も納税者番号に利用したいと明言しておられます。

  1. 個人情報の流出の危険性

です。宇治市では21万件のデータ、といっても3分でコピーできる、そのような住民票データなんですが、バイトの大学院生が堺の名簿屋に売り、それを4人の客がそれぞれ600万円で買った事件がありました。

  1. 民主主義の危機

です。韓国の住民登録番号制度、これも本人確認と徴兵の目的で、警察も自由にアクセスできます。ただし、ICカード化は見合わせています。また、アメリカの社会保障番号制は9・11のテロ以来、本人確認に使用されない傾向にあります。

このように危険性を残したまま稼働した住基ネットのICカード化によるメリットはというと、住民票の広域交付、つまり日本全国どこからでも住民票が受けられることと、それと引っ越しの転出証明書が不要になった、本当にたった2点です。ただし、子供のいる家庭では、転校の手続はしなくてはならないので、そんなに便利になったとは思えません。逆にかかる費用として、1枚1,000円から1,500円は必要ということ、そして国の初期構築費では320億円、年間維持費180億円とも言われています。これだけの投資を問題を残したまま、宝塚市に導入するということはどうしても納得いきません。もう一度検討していくべきだと思い、反対いたします。

以上です。