議会リポート
2011年3月25日
大島 淡紅子
議案第1号平成23年度宝恷s一般会計予算、学校振興費のうち「就学補助事業」について、社会民主党議員団を代表し、賛成の討論を行います。
討論に先立ち、本日の反対討論の中で何度か、反対の論拠として新聞報道をあげられていますが、私たち議員は、自分の足で現地の学校へ行き、自分の目で授業を参観した上で、判断すべきと申し上げ、本旨に入ります。
さて、この事業は、尼崎朝鮮中級学校及び伊丹朝鮮初級学校に通う、幼稚園から中学校年齢の子どもたちの保護者を対象に、子ども1人に対し年額 幼稚園児4.2万円、小中学生14万円の補助を行うものです。
これは、我が国が1994年4月22日に批准したいわゆる「子どもの権利条約」から鑑みても、地方公共団体の当然の責務であり、阪神間では中学生の補助額を引き上げ、最高額にされたことは、大いに評価します。
しかし近年、財政難や共和国の日本人拉致問題と絡め、助成金の打ち切りの声が全国で上がっています。
阪神間でも、尼崎市が尼崎朝鮮初中級学校付属幼稚園在園児の保護者への補助金廃止方針を示していました。しかしその後、市は関係者や一般市民の意見・パブリックコメント等を募り、また朝鮮学校で義務教育課程に相当する教育が行われていることや在住する朝鮮人が納税義務を果たす市民であることなどを踏まえ、1980年度から「朝鮮人学校就学補助金」を支給してきた歴史的経緯を考慮の上、再度協議した結果、来年度以降も支給すると決定しました。
国際的な観点からもこの事業の妥当性を述べておきます。前に述べた「子どもの権利条約」に関しては、国連・子どもの権利委員会からは実に3回にわたり「差別的慣行、特に在日コリアンなど日本国籍を持たない子どもやアイヌなどをふくむ民族的マイノリティの子どもたちに対する差別的慣行を減少させ、かつ防止するように」と指摘されています。
1979年に批准した国際人権規約に関しては、国連の社会権規約委員会は「(略)それが国の教育課程に従うものであるときは、締約国が少数者の学校、特に在日韓国・朝鮮の人々の民族学校を公式に認め、それにより、これらの学校が補助金その他の財政的援助を受けられるようにし、また、これらの学校の卒業資格を大学入学試験受験資格として認める」よう勧告されています。
このように、1人1人の命を大切にする「人権」という観点から私たちの社会を見れば、世界の中では非常に遅れをとっているといわざるを得ません。
昨日の新聞に、東日本大震災被災児童に対し、台湾・彰化県から最長1月間のホームステイの申し出があるという記事がありました。既に、100世帯の申し出があるそうです。
今回の大震災では全世界から支援の手が差し伸べらました。感謝の心と同時に、私たちのアイデンティティーは「日本人」ではなく「地球人」であることを強く認識したのは、私だけではないでしょう。
勿論、拉致の問題は許されるものではなく、早期解決に向け、努力しなければならない重要課題です。
しかし、子どもの育ちに必要な教育の問題と絡めてはなりません。在日コリアンの子どもたちも、同じ地域に暮らす大切な大切な私たちの小さな仲間だということ、また大人である私たちが責任を持って育まねばならないことに変わりないのです。
子どもに差異をつけない地方公共団体の当然の責務としての「児童保護者就学補助金」の支出に賛成する討論といたします。